**************** 名歌鑑賞 **************
紫の 色濃き時は 目もはるに 野なる草木ぞ
わかれざりける
在原業平
わかれざりける
在原業平
(むらさきの いろこきときは めもはるに のなる
くさきぞ わかれざりける)
くさきぞ わかれざりける)
詞書・・自分の妻の妹を妻としていました人に、男の
正装着物を進呈するといって詠んだ歌。
正装着物を進呈するといって詠んだ歌。
意味・・紫草が色濃く咲いている時は、その他の野の
草木もみんな美しく見え、区別がつかなくな
るのです。そのように、私も妻を深く愛して
いるから、妻の縁につながる人もみんな愛(い
と)しい気がします。どうぞ御遠慮なくこの着
物をお受け取り下さい。
草木もみんな美しく見え、区別がつかなくな
るのです。そのように、私も妻を深く愛して
いるから、妻の縁につながる人もみんな愛(い
と)しい気がします。どうぞ御遠慮なくこの着
物をお受け取り下さい。
身分の低い男と、高貴な身分の男とに嫁(とつ)
いだ姉妹がいた。貧しい男に嫁いだ女は、し
なれぬ衣の洗い張りをして、正装の着物を破っ
てしまい、嘆き悲しんでいたので、高貴な男は
義妹に新しい正装の着物を贈った(伊勢物語より)。
いだ姉妹がいた。貧しい男に嫁いだ女は、し
なれぬ衣の洗い張りをして、正装の着物を破っ
てしまい、嘆き悲しんでいたので、高貴な男は
義妹に新しい正装の着物を贈った(伊勢物語より)。
注・・紫=紫草。根から紫色の染料を取った。「紫」
は女性を形容する言葉として使われ、ここ
では妻を暗示している。
色濃き=濃きの裏に、(妻を)可愛く思う時の
意を含めている。
目もはるに=見る目もはるかに・見渡す限り。
野なる草木=野に生えている草木。妻縁類の
人々の意を裏に含んでいる。
わかれざりける=分れざりける。区別がする
事が出来ない。
は女性を形容する言葉として使われ、ここ
では妻を暗示している。
色濃き=濃きの裏に、(妻を)可愛く思う時の
意を含めている。
目もはるに=見る目もはるかに・見渡す限り。
野なる草木=野に生えている草木。妻縁類の
人々の意を裏に含んでいる。
わかれざりける=分れざりける。区別がする
事が出来ない。
作者・・在原業平=ありわらのなりひら。825~880。
美濃権守。
出典・・古今和歌集・868、伊勢物語・41段。