里人の 裾野の雪を 踏分けて ただ我がためと
若菜つむらん
後鳥羽院
(さとびとの すそののゆきを ふみわけて ただわが
ためと わかなつむらん)
ためと わかなつむらん)
意味・・村里の人が山の裾野の雪を踏み分けて、若菜を摘んで
いるが、ただもう自分が生きてゆくためにと摘むので
あろうか。
いるが、ただもう自分が生きてゆくためにと摘むので
あろうか。
「君がため春の野にいでて若菜つむ我が衣手に雪は
降りつつ」(意味は下記参照)を念頭に置きつつ、
そのように人のために摘む風流な若菜では無いと
詠んだ歌です。
降りつつ」(意味は下記参照)を念頭に置きつつ、
そのように人のために摘む風流な若菜では無いと
詠んだ歌です。
注・・若菜=せりやなずななど、食用や薬用の草の総称。
作者・・後鳥羽院=ごとばいん。1180~1239。承久の乱で
隠岐に流された。新古今和歌集の撰集を下命。
隠岐に流された。新古今和歌集の撰集を下命。
出典・・遠島百首(岩波書店「中世和歌集・鎌倉篇」)
参考歌です。
君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に
雪は降りつつ
光考天皇
雪は降りつつ
光考天皇
意味・・あなたに差し上げるために春の野に出て若菜を摘む
私の袖には雪がしきりに降りかかっているのです。
私の袖には雪がしきりに降りかかっているのです。
雪と寒さを押して摘んだ自分の志を伝えています。
作者・・光考天皇=こうこうてんのう。820~887。
出典・・古今和歌集・21、百人一首・15。