あはれさや 時雨るる時の 山家集
山口素堂
(あわれさや しぐるるときの さんかしゅう)
意味・・時雨忌の頃芭蕉を偲び、彼が愛誦した「山家
集」を読んでいると、ありし日の亡友との親
交が思い出され、感慨もまたひとしおである。
芭蕉が没したのは旧暦10月22日で、初冬の時
雨が降る頃であり、その忌日を時雨忌という。
芭蕉が西行を畏敬し、その歌集「山家集」を
愛読していた。素堂も芭蕉と親交があり尊敬
を受ける間柄であった。
注・・あはれ=感慨が深いこと。
時雨=初冬の頃急に降ったり止んだりする雨。
山家集=西行が詠んだ歌集。
時雨忌=松尾芭蕉の命日(旧暦の元禄7年(16
94年)10月22日)。
作者・・山口素堂=やまぐちそどう。1642~1716。
芭蕉とも親交があった。「目には青葉山ほと
とぎす初鰹」の句で有名。
出典・・素堂家集(小学館「近世俳句俳文集」)