月は秋と 思ふりにし 空ながら  今さらしなに
 おどろかれぬる
                 慈円

(つきはあきと おもいふりにし そらながら いまさら
 しなに おどろかれぬる)

意味・・月はとりわけ秋のものだと、以前から思って
    きた空ではあるものの、今更のように更科の
    山に出た月の明るさに驚いたことだ。

 注・・今さらしなに=「今更」と「更科」を掛ける。
     更科は長野県更級郡で月の名所。

作者・・慈円=じえん。1155~ 1225。天台座主。

出典・・岩波書店「中世和歌集・鎌倉篇」