な がむらん 浅茅が原の 虫の音を 物思ふ人の 
心とを知れ
                 散逸物語
            
(ながむらん あさじがはらの むしのねを ものおもう
 ひとの こころとをしれ)

意味・・あなたが眺めているであろう浅茅が原で鳴く虫の
    音を物思いに沈んでいる私の心と御承知下さい。

    悲しく泣いている虫の音。それはあなたにつれな
    くされて泣いている私ですよ。可哀想とは思いま
    せんか。

 注・・散逸物語=散逸して現在は無くなってしまった物
     語。
    風葉物語=1271年に撰集された物語歌撰集。源氏
     物語、狭衣物語など、当時多く存在していた物語
     から撰ばれた。
 
出典・・風葉和歌集・295。