夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は 今夜は鳴かず
いねにけらしも    
                舒明天皇

(ゆうされば おぐらのやまに なくしかは こよいは
 なかず いねにけらしも)

意味・・夕方になると何時もきまって小倉山で鳴く
    鹿が、今夜はまだ鳴かない。たぶんもう寝
    てしまったのだろうなあ。

    時を定めて鳴く鹿の声を聞いていると、又
      鹿の鳴くのを心待ちするものです。その待
    っている声が、いつもの時刻になっても聞
    えないのはなんだか心寂しいものです。
    どうしたのかなあと気にかかる。そういう
    気持を詠んでいます。

 注・・小倉山=奈良県桜井市内にある山。

作者・・舒明天皇=じょめいてんのう。593~641。
    34代天皇。

出典・・万葉集・1511。