秋寒や行く先々は人の家
                   小林一茶

(あきさむや ゆくさきざきは ひとのいえ)

意味・・秋も寒くなって来た。住みつく家もなく
    自分の行く先々はみんな人の家で、頼る
    べき人とてない。秋のわびしさがひとし
    お感じられる事だ。

    41才の時の作で、2年前に父を亡くし、
    流浪の旅の孤独感を感じていた時期です。
    これといって頼みとする人のいないわび
    しさ、寂寞(せきばく)感がただよってい
    ます。親身になってくれる人が欲しいが
    それは出来ない相談。自分自身を頼りに
    生きて行かねばと・・。

作者・・小林一茶=こばやしいっさ。1763~1827。
    農民の出身。3才で母と死別、38才で
    父と死別。奉公生活に辛酸をなめた。

出典・・享和句帳。