さかゆけど 民のかまどや 思らし 平野の杉の
もとのちかひは
                 招月正徹

(さかゆけど たみのかまどや おもうらし ひらのの
 すぎの もとのちかいは)

意味・・平野神社の神は、神杉の誓詞のように、御代
    が栄えていても、庶民の生活の豊ならん事を
    思っていらっしゃるようだ。

    庶民生活の安定こそ神の本来の願いでありた
    い、ということを詠んだ歌です。

 注・・さかゆく=栄行く、ますます栄える。主語は
     為政者。
    民のかまど=庶民の生活。
    平野の杉=京都にある平野神社。この社の神
     杉は治世安民のしるしとされた。
    御代(みよ)=天皇の治世。

作者・・招月正徹=しょうげつせいてつ。1381~1459。
    室町中期の歌僧。

出典・・岩波書店「中世和歌集・室町篇」