楽しみは 書よみ倦める をりしもあれ 声知る人の 
門たたく時 
                   橘曙覧

(たのしみは しょよみうめる おりしもあれ こえ
 しるひとの かどたたくとき)
 
意味・・私の楽しみは、読書にそろそろ飽きてきたちょうど
    その時、声を聞いただけで、ああ、あの人だと分か
    る知り合いが、我が家の戸をたたいて訪ねた時です。

    似た心境として、
    長く仕事を続けていると疲れてくる。ここで一息入
    れたいところだ。でも、あともう少しあともう少し
    と思いながら仕事を進めるが、余りはかどらない。
    この時コーヒータイムしませんかと誘われると踏ん切
    りがつく。誘ったり誘われたり、こういう人間関係
    を持つことは楽しいものだ。

 注・・倦める=飽きる。

作者・・橘曙覧=たちばなあけみ。1812~1868。早く父母
    に死別。家業を異母弟に譲り隠棲した。福井藩の重
    臣と親交。

出典・・岩波文庫「橘曙覧全歌集」。