みよしのの 山の白雪 踏み分けて 入りにし人の
おとづれもせぬ       
                 壬生忠岑

(みよしのの やまのしらゆき ふみわけて いりにし
 ひとの おとづれもせぬ)

意味・・俗世を逃れてみ吉野の山の白雪を踏み分けて入っ
    た人が、帰って来ないばかりでなく、便りもくれ
    ないとは、いったいどうしたわけなのだろうか。

    寒さの厳しい山で住む友を思いやる気持を詠んだ
    歌です。
    当時、次の歌のように、吉野山は、俗世を逃れ住
    む別天地でもあった。
    
    み吉野の 山のあなたに 宿もがな 世の憂き時の
    かくれがにせむ   (古今集 詠み人知らず)

   (山深い吉野山の、さらに向うに、宿でも欲しいもの
    である。この世がいやになった時の隠れ家にしたい
    と思うので)

 注・・みよしの=吉野は奈良県南部の地、「み」は美称。
      ここでは、世を逃れる人の入る山。
    入りにし人=山に入って、そのまま出家した人
    おとづれ=音信、たより。

出典・・古今和歌集・327。

作者・・壬生忠岑=みぶのただみね。生没年未詳。910年
    頃活躍した人。古今集の撰者の一人。