君 あしたに去りぬ ゆうべのこころ 千々に何ぞ 
はるかなる
                  蕪村

(きみ あしたにさりぬ ゆうべのこころ ちぢに
 なんぞはるかなる)

意味・・あなたは一朝にしてあの世へ旅立たれ、残された
    私は、夕べ、こうして千々に心乱れています。
    思い出されるふたりの時の、なんと遥かなことか。

    蕪村と親交のあった俳人早見晋我(はやみしんが)
    が亡くなった時に詠まれた晩詩です。

 注・・はるか=遥か。距離、また年月が遠く隔たってい
     るさま。はるかな昔。
    早見晋我=はやみしんが。1745年75歳で没。蕪村
     はこの時30歳。其角に師事。代々酒造業。

作者・・蕪村=ぶそん。与謝蕪村。1716~1783。南宗画
    も池大雅とともに大家。

出典・・俳詩(竹西寛子「松尾芭蕉集・与謝蕪村集」)