轟々として 夜の海 荒れいたり 貧も希ひも
思へばかすか
                長沢一作 

(ごうごうとして よるのうみ あれいたり ひんも
 ねがいも おもえばかすか)

意味・・轟きをあげて夜の海が荒れている。黒いその
    怒涛の叫びはもの凄い音を立てて荒れ狂う。
    我が生活の貧しさ、我が希(ねが)いなども、
    思えば何とかすかな、ささやかなものか。

作者・・長沢一作=ながさわいっさく。1926~2013。
    慶応義塾中退。佐藤佐太郎に師事。

出典・・歌集「條雲」(東京堂出版「現代短歌鑑賞事典」)