*************** 名歌鑑賞 ****************


今ぞ知る 民も願ひや 久方の 空にみづほの
国さかふなり     
               招月正徹
 
(いまぞしる たみもねがいや ひさかたの そらに
 みずほの くにさかふなり)

意味・・今こそ分かった、国民たちの願望も永久に
    満たされるように、日本の国の、いよいよ
    栄えていることが。

    国民の願望が叶えられるところに日本国の
    繁栄があることを詠んでいます。

    民が富むと年貢も増えて国も栄える。年貢
    を取りすぎたり、戦争が多いと民が貧しく
    なり国の繁栄にはならない。

 注・・久かた=「空」の枕詞。永久の願いの意を
     こめる。
    みづほの国=日本国の美称。「みつ」は空
     に「満つ」を掛ける。

作者・・招月正徹=しょうげつしょうてつ。1381~
    1459。招月は雅号。室町中期の歌僧。
 
出典・・正徹詠草(岩波書店「中世和歌集・室町編」)