あたら夜の 月と花とを おなじくは あはれしれらむ 
人に見せばや         
                  源信明

(あたらよの つきとはなとを おなじくは あわれ
 しれらん ひとにみせばや)

意味・・惜しいばかりのこの良夜の月と花を、同じ見るな
    ら、情趣を分かってくれる人、あなたにも見せて
    一緒に味わいたいものだ。

    春の趣き深い月の夜に花を見て、この良夜の情景
    を一人じめするには惜しまれて、本当に情趣を理
    解する人と共に味わいたいという恋心を詠んだ歌
    です。

    能因法師の次の歌の気持と同じです。
   「心あらむ 人にみせばや 津の国の 難波あたりの 
    春の景色を」(意味は下記参照)

 注・・あたら(惜ら)=惜しいことに、残念にも。 
    あはれしれらむ=情趣を理解する。

作者・・源信明=みなもとさねあきら。937年頃の人。若狭
    守。

出典・・後撰和歌集・103。

参考です。
心あらむ 人にみせばや 津の国の 難波あたりの
春の景色を
               能因法師
           
(こころあらん ひとにみせばや つのくにの なにわ
 あたりの はるのけしきを)

意味・・情趣を理解するような人に見せたいものだ。
    この津の国の難波あたりの素晴しい春の景色を。
    心あらむ(好きな)人の来訪を間接的に促した歌
    です。

 注・・心あらむ=情趣や美を解する心のある人。

作者・・能因法師=988~。俗名橘永愷(ながやす)。中古
    三十六歌仙の一人。26歳で出家。

出典・・後拾遺和歌集・43。