あらそはぬ 風の柳の 糸にこそ 堪忍袋
ぬふべかりけれ    
                鹿都部真顔
             
(あらそわぬ かぜのやなぎの いとにこそ かんにん
 ぶくろ ぬうべかりけれ)

意味・・風に争うこともなく、吹くままになびいている
    柳の枝。あの柳の糸でこそ、めったに破っては
    ならない人間の堪忍袋を縫うべきだ。

    糸と袋の見立ての面白さをふまえた処世訓です。

 注・・柳の糸=細長い柳の枝を糸に見立てた語。
    堪忍袋=堪忍する心の広さを袋に例えた語。

作者・・鹿都部真顔=しかつべのまがお。1753~1829。
    北川嘉兵衛。狂歌四天王の一人。

出典・・狂歌才蔵集(小学館日本古典文学全集・狂歌)