大堰川 かへらぬ水に 影見えて ことしも咲ける 
山ざくらかな           
                香川景樹

(おおいがわ かえらぬみずに かげみえて ことしもさける
 やまざくらかな)

意味・・大堰川の、ひとたび流れ去っては再びもとに帰らない
    水に、影を映して、今年も例年に変わらずに山桜の花
    は咲いているよ。

    流れ去る川と、春がめぐり来るたびに美しく咲き誇る
    山桜を対照にして、もとにもどらぬ人生の無常の感慨
    を詠んでいます。

 注・・大堰川=京都嵐山の麓を流れる川。

作者・・香川景樹=かがわかげき。1768~1843。小沢蘆庵と
    交流し影響を受ける。

出典・・歌集「桂園一枝」。