象潟や雨に西施がねぶの花
                   芭蕉
 
(きさがたや あめにせいしが ねむのはな)

意味・・象潟の雨に煙る風景の中に合歓(ねむ)の花が
    咲いているが、その姿は、あの美人西施が憂
    いに沈んで半ば目をつむっているような趣が
    ある。

    芭蕉が奥の細道の旅で象潟の地に来て詠んだ
    歌です。
    象潟は小島が多く松島と似ているようで違っ
    た所もある。喩えて言えば、松島は美人が笑
    っていて明るいが、象潟は何か暗く沈んだ所
    がある。寂しい感じの上に悲しさが加わって、
    この土地の様子は美人が心を悩ましている趣
    である、と奥の細道で書いています。

 注・・象潟=秋田県由利郡象潟町。日本海の海を入
     れた潟湖で、多くの小島があり、景勝地。
    西施=中国周代の越の国の美女。
    ねぶ(ねむ)の花=合歓の花。豆科の高木、
     羽状の葉が夕暮れや雨の時には閉じて、ち
     ようど眠ったかっこうになる。6,7月頃に
     薄桃色の花が咲く。ねぶに「眠る」の意を
     掛ける。

作者・・芭蕉=ばしょう。1644~1695。

出典・・奥の細道。