*************** 名歌鑑賞 ****************


たち変わり 古き都と なりぬれば 道の芝草 
長く生ひにけり    
                 田辺福麻呂

(たちかわり ふるきみやこと なりぬれば みちの
 しばくさ ながくおいにけり)

意味・・すっかり様子が変わって、今ではもう古びた
    都になってしまったので、往き来する者もな
    く、道の雑草も丈(たけ)高くなってしまった。

    奈良遷都で人々がいっせいに新都に行ってし
    まった。今まで大宮人が踏み平して往き来し
    ていた道は、馬も通らず人も通わないので、
    今では全く荒れ放題になってしまったと、悲
    しんで詠んだ歌です。

 注・・たち変り=「たち」は意味を強める接頭語。
    奈良還都=740年から745年まで都は難破や
     久爾(くに)に移った。奈良の都はその後日
     々に荒廃した。

作者・・田辺福麻呂=たなべのさきまろ。生没年未詳。
    748年頃活躍した宮廷歌人。

出典・・万葉集・1048。