この憂さを 昔語りに なしはてて 花たちばなに
思ひ出でめや
                 西行
               
(このうさを むかしがたりに なしはてて はな
 たちばなに おもいいでめや)

意味・・この世の憂さはすべて昔語りにしてしまって、
    花橘の香に誘われて懐旧の念にひたろうよ。

    昔はこんな辛いこともあったことだ、と懐旧し
    昔物語にする。

 注・・昔語り=昔あったことの話。憂きことも時間
     の経過と共に美化される。

作者・・西行=さいぎょう。1118~1191。俗名佐藤義
      清。下北面の武士として鳥羽院に仕える。
      1140年23歳で財力がありながら出家。出家
      後京の東山・嵯峨のあたりを転々とする。
      陸奥の旅行も行い30歳頃高野山に庵を結び
     仏者として修行する。

出典・・山家集・722。