いつしかと 起きうからでも みゆるかな 咲くやあしたの
床夏の花               
                    慶運
                    
(いつしかと おきうからでも みゆるかな さくや
 あしたの とこなつのはな)

意味・・早く起きるのは辛(つら)いといった様子もなく、
    初々しく咲いている朝方の床夏の花よ。

    早起きして、早朝に見る新鮮な撫子を描写した
    歌です。

 注・・いつしか=何時しか。早く。これから起きるは
     ずの事態を待ち望む意を表す。
    起きう=起き憂。起きるのが辛い。
    みゆる=そのように見える。
    咲くや=「や」は反語の意を表す。咲くのだろ
     うか、いや咲くのではない。
    床夏の花=撫子の古名。

作者・・慶運=けいうん。生没年未詳。1295年ごろの生
    まれ。70歳ぐらい。当時、兼好、頓阿、浄弁ら
    とともに和歌の四天王といわれた。

出典・・慶運百首(岩波書店「中世和歌集・室町篇」)