夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに
月やどるらむ      
                  清原深養父

(なつのよは まだよいながら あけぬるを くもの
 いずこに つきやどるらん)

意味・・今夜はまだ宵の口だと思っていたら
    そのまま空が明るくなってしまったが
    これでは月が西に沈む暇があるまい。
    進退窮まった月は、どの雲に宿を借り
    ているのだろうか。

    暮れたと思うとすぐに明るくなる夏
    の夜の短い事を誇張したものです。

 注・・宵=夜に入って間もないころ。

作者・・清原深養父=きよはらのふかやぶ。
    九世紀末が十世紀前半の人。清少納言
    の曾祖父。

出典・・古今和歌集・166、百人一首・36。