おのづから 我をたづぬる 人もあらば 野中の松よ
みきとかたるな
                   源実朝

(おのずから われをたずぬる ひともあらば のなかの
 まつよ みきとかたるな)

詞書・・屏風絵に、野の中に松の三本生えている所を、衣
    を被った女が一人通ったのを詠んだ歌。

意味・・もしも私のことを尋ねる人がいたら、野中の三木
    (みき)の松よ、私を見たと告げないでおくれよ。

    屏風絵の中の女の口上として詠んでいます。

 注・・おのずから=たまたま、まれに。
    みき=「見き」と松の三本「三木」を掛ける。
    衣(きぬ)を被った=昔、女性が外出する折、単(ひ
     とえ)の小袖を頭から被り、顔を隠すようにした
     姿。
    
作者・・源実朝=みなもとのさねとも。1192~1219。28
    歳。12歳で征夷大将軍になる。甥の公卿に鶴岡八
    幡宮で暗殺された。

出典・・金槐和歌集・591。