夕立ちや 法華飛び込む 阿弥陀堂
                     大仏次郎

(ゆうだちや ほっけとびこむ あみだどう)

意味・・急に降って来た大降りの雨。阿弥陀堂には侍や、
    旅役者、町人の先客が雨宿りをしながら、誰かま
    わずにわいわい言っている。そこに坊主が飛び込
    んで来て一枚加わった。

    「ひどい雨ですなあ、どこまで行かれます?・・
    どこどこは物騒、お役人が誰々をお縄にした・・」
    知らぬもの同士でも話がはずむ。

 注・・法華=法華宗。ここでは僧、坊主。
    阿弥陀堂=阿弥陀仏を本尊とする仏堂。

作者・・大佛次郎=おさらぎじろう。1897~1973。東大卒。
    小説家、鞍馬天狗や赤穂浪士が有名。

出典・・大仏次郎著「小説・鞍馬天狗」。