鳴く蝉を 手握りもちて その頭 をりをり見つつ
童走せ来る
                窪田空穂 

(なくせみを たにぎりもちて そのあたま おりおり
 みつつ わらわはせくる)

意味・・手の中で高く鳴いている蝉を、しっかり握り
    持って、その蝉の頭を、時々大切そうに見や
    りながら嬉しくて早く私に見せようと、子供
    が夢中で走り寄って来る。

作者・・窪田空穂=くぼたうつぼ。1877~1967。早
    稲田大学卒。早大文学部教授。 

出典・・歌集「鏡葉」(桜楓社「現代名歌鑑賞辞典」)