急がずば ぬれざらましを 旅人の あとよりはるる
野路の村雨           
                 太田道灌

(いそがずば ぬれざらましを たびびとの あとより
 はるる のじのむらさめ)

意味・・もしも急がなければ、濡れなかったであろうに。
    旅人が通った後から晴れていく野の道に降った
    にわか雨である。

    急いだばかりにずぶ濡れになった旅人の後から、
    皮肉にも晴れていく村雨の景は「急(せ)いては
    事を仕損じる」の教訓として詠まれています。

 注・・村雨=にわか雨。

作者・・太田道灌=おおたどうかん。1432 ~1486。
    1457年に江戸城を築く。

出典・・家集「慕景集」(笠間書院「和歌の解釈と鑑賞辞典」)