逢坂を うち出でて見れば 近江の海 白木綿花に
波立ちわたる
                  詠み人知らず 

(おうさかを うちいでてみれば おうみのみ しらゆう
 ばなに なみたちわたる)

意味・・逢坂山を越え出てみると、近江の海には白木綿花
    のように、美しい波が一面に立っている。

    山部赤人の歌(万葉集・321)「田子の浦ゆうち出で
    てみれば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」と
    同じ技法で詠まれています。

 注・・逢坂(山)=京都府と滋賀県の堺にある逢坂(山)。
    近江の海=琵琶湖。
    白木綿花(しらゆうばな)=楮(こうぞ)の木の皮の
     繊維を糸として織った布を、曝(さら)して白く
     したものを白木綿といい、それで作った造花。

出典・・万葉集・3238。