撫子は いづれともなく にほへども おくれて咲くは
あはれなりけり        
                  藤原忠平

(なでしこは いづれともなく におえども おくれて
 さくは あわれなりけり)

意味・・撫子はどれがどうとも優劣つけがたく美しく
    咲き映えているが、遅れて咲いた撫子は特に
    可憐に思われる。そのように子供達はだれも
    区別なく可愛いものだが、遅く生まれた子供
    というものは、とりわけ可愛いものだ。

    忠平の末の子が撫子の花を持っていたので、
    母親に花に添えて詠んで持たせたものです。
    末子は他の兄弟より年が離れていた。

 注・・にほへども=美しく色づいているが。
    あはれ=いとしい。

作者・・藤原忠平=ふじわらただひら。879~949。
    太政大臣。

出典・・後撰和歌集・203。