秋風の 千江の浦廻の 木屑なす 心は依りぬ
後は知らねど
詠み人しらず
(あきかぜの ちえのうらみの こつみなす こころは
よりぬ のちはしらねど)
意味・・秋風の吹く千江の浜辺に、木の屑や貝殻や海藻
などの小さな塵芥が流れ寄っています。それら
は波のまにまに打ち寄せられて、いつしか、そ
の浜辺にたまったもの。私の恋の思いも、ちょ
うど塵芥のようなもので、あなたに対する慕情
は、絶え間なく私の心の浜辺に打ち寄せ続け、
高まり、つのるばかり。でも、この思いがかな
えられるかどうか、その行く末を知ることは出
来ないけれど。
注・・秋風の=「吹く」などの述語が省かれている。
千江の浦廻=所在未詳。「浦廻」は海岸の湾曲
したところ。
木屑(こつみ)=木積とも。木の屑。海岸に打ち
寄せられる諸々の塵。
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