命一つ 身にとどまりて 天地の ひろくさびしき
中にし息す
窪田空穂
(いのちひとつ みにとどまりて あめつちの ひろく
さびしき なかにしいきす)
意味・・命一つ、他のものはすべて、老いたがゆえに無く
なっているが、最後に大切な命だけは残っている。
欲望、志、目標といったものも無くなり寂しいが、
この広い天地自然の中に静かに自分は生きている
のだ。
77才の時に「老境」という題で詠んだ歌です。
命一つ以外何も無い。もう失う物は無い。気楽な
気持ちで老境を楽しもう。あるがまま、思うまま
に生きて行こう。
命一つ以外に何も無い状態にするのは困難がつき
まといます。常に「断捨離」と念仏のように唱え
ていなければ出来ません。
断:入ってくるいらない物を断つ。
捨:家にずっとあるいらない物を捨てる。
離:物への執着から離れる。
不要な物を断ち、捨てることで、物への執着から
離れ、自身で作り出している重荷からの解放を図
り、身軽で快適な生活を心掛けることです。
作者・・窪田空穂=くぼたうつぼ。1877~1967。早稲田
大学卒。国文学者。
出典・・歌集「丘陵地」(実業之日本社「現代秀歌百人一
首」)
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