こころみに ほかの月をも みてしがな わが宿からの
あはれなるかと
                   花山院
             
(こころみに ほかのつきをも みてしがな わがやど
 からの あわれなるかと)

意味・・ためしに他所の月を見てみたいものだ。見る
    場所がこの家ゆえの素晴らしさなのかどうか
    と。

    見る人の状態、すなわち自分の気持ちや立場、  
    場所などが最良の時に素晴らしい月が見られ
    るのです。

 注・・あはれ=喜楽・悲哀などの感動を表す語。
     すてきだ、悲しい、気の毒だ。

作者・・花山院=かざんいん。968~1008。65代天皇。
    退位後出家。

出典・・詞歌和歌集・300。