あさぢはら ぬしなき宿の 庭の面に あはれ幾世の
月かすみけむ
                  源実朝

(あさじはら ぬしなきやどの にわのおもに あわれ
 いくよの つきかすみけん)

意味・・畑にもされずに浅茅を生した原で、主人のいない
    家の庭に、いったい月は幾年月、澄んだ光で照ら
    して来たことだろう。

    現在の高齢化社会で、若い人は都会に出て行き、
    故郷は空き家になり、人も訪れずに荒れ果てた様
    と同じです。

 注・・あさぢはら=浅茅原。丈の低い茅が生えている原。
    すみ=「住み」と「澄」を掛ける。

作者・・源実朝=みなもとのさねとも。1192~1219。28
    歳。征夷大将軍。鶴岡八幡宮で甥に暗殺された。

出典・・金槐和歌集。