ぬき足に虫の音わけてきく野かな
                    池西言水

(ぬきあしに むしのねわけて きくのかな)

意味・・野原一面に虫の音が聞こえる。せっかく鳴いて
    いる虫を、驚かせてしまってはいけないので、
    抜き足さし足で、そっと虫の声を分けるように
    野中に歩み入って、虫の声の中にひたるように
    聞いている。

    「虫の音わけて」というところに、虫の声に静
    かに身をひたす緊張感と満足感が表れている。

 注・・ぬき足=抜き足。足を静かに抜き出すように上
     げて歩くこと。足をそっとおろす意の差し足
     とともに、抜き足差し足という熟語として用
     いる。
    虫=秋の夜に鳴く種々の虫の総称。

作者・・池西言水=いけにしごんすい。1650~1722。

出典・・句集「夏木立」(小学館「近世俳文俳句集」)