秋山を 越えつるけふの しるしには 紅葉のにしき
着てやかへらむ
                  河内 

(あきやまを こえつるきょうの しるしには もみじの
 にしき きてやかえらん)

意味・・秋が山を越えてしまった証拠、また、その山を
    歩いた証拠として、もみじ葉を錦のように衣服
    につけて帰ることにしょう。

    旧暦の九月尽に詠まれた歌です。秋の果ての感
    慨と紅葉の情趣が深まって来ます。

 注・・秋山を越えつる=「作者が秋の山を越えた」事
     と「秋が山を越え去った」事を掛ける。
    旧暦九月尽=旧暦の9月30日、現在の11月10日
     頃。旧暦では7月8月9月が秋。

作者・・河内=かわち。生没年未詳。後三条天皇の皇女・
     俊子内親王に仕えた女房(女官のこと)。

出典・・堀河百首。