さらば父 地の百里は 隔てありぬ 我が家の笑みを
天に見給へ
                 与謝野晶子

(さらばちち つちのひゃくりは へだてありぬ わがやの
 えみを てんにみたまえ)

意味・・あの世に旅立ってしまった父。生きて地上にいた
    時は、お互いに百里も隔たって暮らしていました
    が、天上にいる今は、我が家の皆の笑顔を見守っ
    ていて下さい。

 注・・地の百里=父は堺で、晶子は東京でそれぞれ離れ
     て暮らしていたことから、その距離的な隔たり
     を言っている。

作者・・与謝野晶子=よさのあきこ。1878~1942。堺女
        学校卒。与謝野鉄幹と結婚。「明星」の花形と
    なる。

出典・・歌集「毒草」(大塚虎彦著「名歌即訳「与謝野晶
    子」)