書庫の窓 あらふ寒雨 論敵を うたむ言葉の
ひとつ閃く
               木俣修

(しょこのまど あらうさむあめ ろんてきを うたむ
 ことばの ひとつひらめく)

意味・・調べ物を探しに書庫まで出掛けた時、その窓
    を洗うばかりに激しい冬の雨が降っていた。
    その激しい雨を見つめていると、懸案になっ
    ていた論争の相手に応えるべき筋書が閃いて
    来た。

    考え事をしていて答えが分からないので、他
    の事をしいると、何かの切っ掛けで答えが閃
    く事があります。その状態を詠んでいます。
    
 注・・うたむ=疎む。遠ざける、嫌う。

作者・・木俣修二=きまたしゅうじ。1906~1983。
    東京高等師範卒。昭和女子大教授。

出典・・歌集「天に群星」(実業之日本社「現代秀歌
    百人一首」)