わが里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 
降らまくは後
                   天武天皇
             
(わがさとに おおゆきふれり おおはらの ふりにし
 さとに ふらまくはのち)

意味・・こちらの里には今日大雪が降った。まことに綺麗
    だが、おまえの居る大原の古びた里に降るのはも
    っ後だろう。さすがに私の居る所はたいしたもの
    だろう。

    戯れで藤原夫人(ぶじん)に贈った歌です。

    同音の繰り返しが心地よい歌となっています。
    「大雪・大原」「降れり・古りにし・降らまく」。

 注・・大原=奈良県高市郡明日香村小原の地。
    古りにし里=藤原夫人の住んでいる所をふざけ
     てわざっと悪く言ったもの。
    降らまくは=降るであろうことは。「ま」は推
     量の助動詞「む」の未然形。「く」は名詞化
     する接尾語。
    藤原夫人=鎌足の娘。「夫人」は天皇に仕える
     職の名で、妃に次ぐもの。

作者・・天武天皇=てんむてんのう。622~686。第40
    代天皇。壬申の乱を起こし弘文天皇を滅ぼして
    都を大和の飛鳥に移す。

出典・・万葉集・103。