時雨るるや 黒木つむ屋の 窓あかり
野沢凡兆
(しぐるるや くろきつむやの まどあかり)
意味・・寒中の用意に軒近くまで薪(たきぎ)を高々と
積み上げた農家などのさまである。外は時雨
が降っていて、室内は寒々と薄暗い。積み上
げた黒木の間に小窓の部分だけは開けてあり、
そこから射し込む光が薄暗い室内をほのかに
明るくしている。
冬を迎えて、ひっそり寄り添うような人間の
生業(なりわい)のさまを感じさせる句です。
注・・黒木=生木をいぶして黒くなった薪。
作者・・野沢凡兆=のざわぼんちょう。?~1714。
金沢より京に出て医を業とする。芭蕉に師事。
去来とともに「猿蓑」を編集。
出典・・句集「猿蓑」。
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