冬野には こがらやまがら とび散りて またいろいろの
草の原かな
                   藤原信実 

(ふゆのには こがらやまがら とびちりて またいろ
 いろの くさのはらかな)

意味・・冬の野には小雀・山雀が飛び舞っている。秋の
    草花が枯れてしまった野原は、以前のようにま
              た、さまざまに人の関心を引く平地になるのだ
    ろうか。

    春や秋は草花がいろいろに咲き、人々はこの野
    に目を向けていたが、花の無くなった今は誰も
    見向きもしない。だが再びこの野に目が向けら
    れるようになるだろうなあ、と感慨を詠んでい
    ます。

 注・・こがらやまがら=小雀・山雀。スズメ目シジュウ
     ガラ科の小鳥。
    草の原=「草」は種(くさ)、「原」は平地。種は
     物ごとを生ずる元。冬の野は、春になるといろ
     いろの物が生じる平地だと言っている。

作者・・藤原信実=ふじわらののぶざね。1176~1266。
     正四位下・左京大夫。

出典・・新撰和歌六帖。