灯ちらちら 疱瘡小屋の 吹雪かな    
                           一茶

(ひちらちら ほうそうごやの ふぶきかな)

意味・・降りしきる吹雪の中で、病舎の灯がちらちら
     とまたたいている。

     長崎郊外に設けられた大村藩の人里離れた
     隔離病舎を詠んだ句です。
     病舎といっても人に忌(い)まれる天然痘患者
     を収容した粗末な小屋なのです。

     人に忌み嫌われる病気、治るのかどうか不安
     の中、そして寒さに寂しさ。この逆境の中で
     必死になって生きている患者を念頭に詠んだ
     句です。

 注・・疱瘡(ほうそう)=天然痘のこと。法定伝染病
     の一つで、高熱・発疹(ほっしん)を生じあば
             たを残す。

出典・・寛政句帖(小学館「近世俳句俳文集」)