冴えわびて さむる枕に かげ見れば 霜深き夜の
有明の月
                  藤原俊成女

(さえわびて さむるまくらに かげみれば しも
 ふかきよの ありあけのつき)

意味・・寒さに堪えかねて目覚めた枕元に射している
    光、見るとそれは霜の深く降りた夜の月明か
    りであった。

    あまりの寒さに目が覚めると、枕元には月の
    光が射しこみ、外は霜で真っ白になっている
    寒い情景を詠んでいます。

 注・・冴えわびて=寒気のきびしさに堪えかねて。
     「わび」は・・しきれなくなるの意。
    有明の月=夜が明ける頃もまだ空に出ている
     月。

作者・・藤原俊成女=ふじわらのてしなりのむすめ。
    1171頃~1252頃。後鳥羽院に歌才を認めら
    れ多くの歌合に参加。

出典・・新古今和歌集・608。