春日野の 下萌えわたる 草の上に つれなく見ゆる 
春の淡雪
                 源国信

(かすがのの したもえわたる くさのうえに 
 つれなくみゆる はるのあわゆき)

意味・・春日野の地中から一面に生え出る草の上に、春に
    なっても降る淡雪のなんと無情なことか。

    草が萌え花が咲き出してもう春だというのに、淡
    雪が降ったという驚きです。

    心に思い続けている女性が無情にも素知らぬ顔を
    している事も暗示しています。

 注・・春日野=奈良市奈良公園の一帯。
    下萌えわたる=地中から一面に生え出る草。下燃
     えわたる(心に思い続ける)を掛ける。
    つれなく=無情にも。
    淡雪=消えやすい薄雪。

作者・・源国信=みなもとのくにのぶ。1068~1111。正
    二位権中納言。

出典・・新古今和歌集・10。