浅緑 花もひとつに 霞つつ おぼろに見ゆる
春の夜の月
              菅原孝標女 

(あさみどり はなもひとつに かすみつつ おぼろに
 みゆる はるのよのつき)

意味・・浅緑色の霞に桜の花も一つになって霞み、おぼ
    ろに見える春の夜の月、その風情に心が惹かれ
    ます。

    春と秋のどちらの情趣に心が惹かれるかと論争
    した折に詠んだ歌です。、

 注・・浅緑=薄緑、霞んでいる空の色をいった。
    花も=桜の花も。

作者・・菅原孝標女=すがはらのたかすえのむすめ。生
     没年未詳。1060頃の人。「更級日記」の著者。

出典・・新古今和歌集・56。